指定薬物とされている亜硝酸イソブチルについて,指定薬物の要件を満たしているのか否かなどが争われた【千葉】ラッシュ裁判を素材として,指定薬物要件の解釈のあり方などについて検討を加えた論文が発表されました。
指定薬物制度におけるラッシュ規制のあり方と裁判の論点について、もっともまとまった論文かと言えます。
掲載誌 『佛教大学社会学部論集 第 74 号』佛教大学社会学部 2022 年 3 月
論文名 三重野雄太郎「指定薬物制度に関する一考察」(クリックするとPDFで閲覧できます)
目次 Ⅰ はじめに
Ⅱ 千葉ラッシュ裁判
Ⅲ 指定薬物制度に関する検討
Ⅳ おわりに
抄録
本稿では,指定薬物とされている亜硝酸イソブチルについて,指定薬物の要件を満たしているのか否かなどが争われた千葉ラッシュ裁判を素材として,指定薬物要件の解釈のあり方などについて検討を加えた。
指定薬物の実質的要件については,他の薬物の規制や,刑法の謙抑性,比例原則などの観点から,麻薬や覚せい剤と同等程度の有害性のある物を意味していると解釈すべきである。また,指定薬物の規制には,他の薬物についての規制と照らしてバランスを欠いた部分が見受けられる。さらに,指定薬物制度そのものに,指定が本当に適切であったか,後から検証する余地がほぼ皆無であるという問題がある。
このように,現行の指定薬物制度には様々な問題があり,今後も適切な規制のあり方を検討していく必要がある。