ラッシュ(RUSH)またはニトライト(亜硝酸エステル類)と呼ばれる薬品は、2007年に医薬品医療機器等法(旧薬事法)により「指定薬物」となり、業者による販売などが違法となりました。その後、2014年の改正で個人所持、使用、購入まで違法となり、2015年には関税法改正により個人輸入についても二重に違法とされ、刑事罰の対象になっています。
ラッシュの所持や輸入行為の摘発によって、刑事罰を受けたり、職を失う人も出てきています。
医薬品医療機器等法で定める「指定薬物」とは、「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」を指します。
ラッシュに健康上の影響があることは否定できません。
しかし、ラッシュは果たして「指定薬物」として規制されるような薬物なのでしょうか。
その規制の過程は妥当なのでしょうか。懲役刑や解雇処分が相当するものなのでしょうか。
私たちは、ラッシュの薬理作用の科学的根拠や、「指定薬物制度」の趣旨などを見直し、現在の規制のあり方を考えようとするものです。
また2017年7月、ラッシュ(亜硝酸イソブチル)の個人輸入により起訴された元地方公務員が、処罰の無効を訴える裁判に立ち向かいました。
さらに、2020年1月、ニトライト(亜硝酸イソプロピル・亜硝酸イソペンチル)の個人輸入により罰金刑を受けた自営業者が、処罰の不服を訴える裁判に臨みました。
裁判についても、支援、情報提供するものです。
詳細は情報ブログをご覧ください。
ラッシュ(亜硝酸エステル類、ニトライト)は、元々、狭心症薬として用いられ、やがて、サーファーやゲイなどのレクリエーションドラッグとして使用されるようになりました。
その主要な薬理作用は、血管拡張による血圧低下とされており、中枢神経系への作用についての、科学的見解はまとまっていないのが現状です。
日本において、ラッシュは、主にセックスドラッグとして流通し、やがて「危険ドラッグ」と見なされ、2007年に、旧薬事法改正の「指定薬物制度」導入により、販売などが違法となりました。その後、個人所持、譲渡なども規制されるようになり、さらに関税法の改正により、個人輸入も刑事罰の対象となってきました。
しかし、ラッシュが「指定薬物」制度の規制対象として妥当か、その規制のあり方については、検討の余地があると私たちは考えています。
東京近郊の地方公務員が、ラッシュ(亜硝酸イソブチル)を2015年12月に個人輸入しようとして、横浜税関に告発されました。2017年5月、警察の家宅捜索と聴取を受け、職場を懲戒免職となりました。2017年7月、千葉地方裁判所に、「医薬品医療機器等法」「関税法」違反として、起訴されました。
裁判を進めるなかで、ラッシュが「指定薬物」として指定された過程に疑義があったのではないか、ラッシュは「指定薬物」の要件に該当しないのではないか、ということが見えてきたため、無罪を主張しましたが、有罪判決となり、控訴審でも、棄却されました。
一方、2020年1月、ニトライト(亜硝酸イソプロピル・亜硝酸イソペンチル)の個人輸入により罰金刑を受けた自営業者が、処罰の不服を訴える正式裁判に臨みましたが、東京高裁で有罪判決が確定しました。
裁判に関する情報を提供し、この取り組みへの理解を共有します。
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