ラッシュを規制する「指定薬物」の要件として、「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。以下「精神毒性」という。)を有する蓋然性が高いこと」が挙げられます。
ラッシュを指定薬物に指定した指定薬物部会(2006年11月)では、「アメリカン・ジャーナル・オン・アディクションズ」(2001年)というアメリカの論文を典拠に審議資料が作成され、ラッシュに中枢神経系作用があるとされました。しかし同論文には、神経系統を含む人体への影響があることは述べられているものの、それらは血管拡張に因るものとし、中枢神経系作用からもたらされるとの明記はありません。
すなわち、指定薬物部会の審議資料とそれに基づいた審議には、エビデンスの疑義が生じるのです。
亜硝酸イソブチル等は血圧降下作用があり、メトヘモグロビン血症、チアノーゼ、貧血、めまい、動悸、頻脈、虚脱、失神、頭痛、嘔吐、尿失禁、便失禁等の健康被害が危惧される。〉
〈成分の亜硝酸エステルには狭心症治療薬のアミル体があり、違法ドラッグではイソブチル体が最も多く、その他にイソアミル体、プロピル体などである。そのメカニズムは亜硝酸部分から発生したNOによる血管拡張作用といわれるが、生体作用がエステル体により異なるかは不明である。〉
〈製品に含まれる成分として物質が特定された場合であっても、ほとんどの場合、依存性や精神毒性等の有害性に関して現時点で得られている科学的知見は非常に限られている。〉
〈現時点で麻薬相当の有害性が立証されたといえない違法ドラッグについて、販売等を予定しない個人的な使用のための所持等までも規制することは、有害性の程度に応じた規制の均衡という観点から、基本的に困難ではないかとの指摘がある。(略)本提言を踏まえた違法ドラッグ対策の帰趨や成果、また、それら対策が講じられた結果としての違法ドラッグの乱用実態等を十分に把握・検証した上で、麻向法における麻薬や向精神薬の規制とのバランス等を含め、今後検討すべき課題でないかと考えられる。〉
また、ラッシュを指定薬物として承認した指定薬物部会の第一回会議においても、監視指導・麻薬対策課長は、次のように発言しています。
〈麻薬指定に際しては、国立の試験研究機関や大学等において、依存性、あるいは精神毒性についてデータを集め、実際に実験をしていただいて検証する、それをもとに、指定の可否について専門家の御意見を聴くことになっています。どのようなものについて検査を行うかというのは、乱用の実態等に基づき、専門家の御意見も聴きながら順次やっていかざるを得ないと思います。〉
すなわち、ラッシュを指定薬物に指定した当時のエビデンスが明確ではないならば、不断に検証していくことが求められているはずです。
しかし、ラッシュについての中枢神経系作用の検証が、指定後に日本で行われた研究例は見当たりません。
いずれにせよ、被告人の人生を大きく左右する刑罰化なのですから、明確なエビデンスと法解釈に基づいた、司法判断がなされるべきだと考えます。
【千葉】ラッシュ裁判・【横浜】ニトライト裁判とも控訴審へ
【千葉】ラッシュ裁判は控訴に向けて準備中で、2021年1月末に検察側の意見書が提出され、公判は2月以降の開催の予定です。
【横浜】ニトライト裁判も罰金刑の有罪判決を受けたため、控訴に向けて準備中です。予定はわかり次第、お知らせします。
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名義 ラッシュコントロール
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