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ラッシュの規制がより有害な薬物へ移行⁉

「ラッシュ」は、より有害な薬物への窓口となる「ゲートウェイドラッグ」だから規制しなければならない、と言われることがあります。

しかし実態は、ラッシュのような有害性の低い薬物が「指定薬物」として規制されてしまったことにより、より入手しやすく有害な覚せい剤などを求めるようになったという事例が、多く報告されるようになりました。

 

ここでラッシュの指定が問題となるのは、

1 ラッシュには指定薬物制度が求める程度の有害性が存在しない

2 ラッシュがゲートウェイドラッグだとする根拠と相反する

3 指定薬物制度は絶えず規制の検証をすることが求められていたのに放置されている

4 指定によって、より社会の有害性が増大している状況を放置している

といった点でしょう。

 

しかし、【千葉】ラッシュ裁判判決では、これらをことごとく認めませんでした。

しっかりとした根拠に基づいて、規制の是非を考えたいものです。

 

🔊【千葉】ラッシュ裁判判決の概要

🔊「脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」の提言


樽井正義ほか「NGO等におけるHIV陽性者および薬物使用者への支援に関する研究」
『地域においてHIV陽性者等のメンタルヘルスを支援する研究 平成26年度 総括・分担研究報告書(2015)(【千葉】弁50号証)
本文献は、1990年代から多くの人は、ラッシュを有害な薬物と考えず使用していたが、2006年11月に指定薬物として違法化されたことにより、入手が困難となり、一部の人は相対的に入手が容易なより有害な覚せい剤などを求めるようになったことを指摘する。
ただし、本論では、「それら(ゴメオやラッシュー引用者注)がゲートドラッグとなって依存に傾斜していた人は、それらに比べて相対的に入手が容易な覚醒剤を求めるようになり、あるいは法規制を受けていない「脱法ドラッグ」を探すようになった」と「ゲートドラッグ」である旨の位置づけをしている。しかし、ゲートウェイドラッグを規制すればより有害な薬物使用の危険性が防止できるという規制の趣旨とは、むしろ逆作用を生んでいることを見逃してはならないだろう。

肥田明日香ほか「薬物使用者による依存症クリニック受診経緯の調査」
『地域においてHIV陽性者と薬物使用者を支援する研究 平成27年度 総括・分担研究報告書(2016)(【千葉】弁51号証)
本文献も、上記論文を引用する形で、RUSHは、2000年代半ばに違法薬物となったことで、一部の人はそれらに比べてに入手が容易な覚せい剤を求めるようになったことを指摘する。

谷淵由布子・松本俊彦ほか「The influence of tightening regulations on patients with new psychoactive substance‐related disorders in Japan」(危険ドラッグ関連障害患者の急増と終息とその後)
『Neuropsychopharmacology Reports』 38(4)(2018)(【千葉】弁52・53号証)
本文献は、かつて危険ドラッグを乱用していた者が、他の薬物に転向した98症例を考察したもので、転向の理由として「危険ドラッグが手に入らないから」との回答が38例(53.3%)認められたとする。その結果、①危険ドラッグに代わる覚せい剤などに移行した可能性、②危険ドラッグを使用すると逮捕などの司法的対応が想定されるため睡眠薬・抗不安薬などに移行した可能性、を挙げ、薬物の規制だけではなく治療や回復支援の必要性を説いている。
この所見は、ラッシュを指定薬物としたことが、人体に有害な依存性のある薬物の蔓延を防ぐという目的を実現するよりも、むしろ社会により強い害悪をもたらしたことを示すものであり、ラッシュの指定処分が妥当性を欠くものであったといえる。


【千葉】ラッシュ裁判・【横浜】ニトライト裁判とも控訴審へ

【千葉】ラッシュ裁判は控訴に向けて準備中で、2021年1月末に検察側の意見書が提出され、公判は2月以降の開催の予定です。

【横浜】ニトライト裁判も罰金刑の有罪判決を受けたため、控訴に向けて準備中です。予定はわかり次第、お知らせします。


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    名義 ラッシュコントロール