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日本が違う? 国際的な薬物施策は非犯罪化

2020年2月にシンガーソングライターの槇原敬之さんが逮捕され、さまざまな報道がなされました。

🔊槇原敬之氏報道とラッシュ裁判

 

このとき、精神科医の松本俊彦氏が、「薬物報道の在り方」についてインタビューに答えた記事が掲載されました。

🔊槇原敬之逮捕で注目。精神科医が警告する「薬物報道の在り方」」(小林たかし)

 「bizSPA!フラッシュ」2020年4月1日配信

  https://bizspa.jp/post-289508/

 

ここではまず、「薬物使用の一番の被害は社会からの孤立」として、「日本は現在、一部の薬物の使用や所持などを犯罪として取り締まり、それに加えて『ダメ。セッタイ。』に象徴される、薬物乱用防止教育も徹底して」行われていることから、「刑罰を受け“犯罪者”“ムショ帰り”になり、仕事や家族を失い、社会内に居場所を失って孤立すること」「加えて、日本では、薬物を使うのは極悪人だ、というラベリングが乱用防止教育の中でかなり刷り込まれ、人々のあいだに薬物依存症の人に対する強い偏見が植えつけられています。その結果、違法薬物の依存症になった人が治療や支援を受けづらくなっています。」と弊害を訴えます。

 

次いで、「「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」の影響」として、「啓発の中で薬物を使う人は怖い、極悪人だ、と教えられてきたからです。通り魔事件や、世間を震撼させる凶悪な殺人事件でも背景には別の病気があったりするのに、ことさらに薬物と絡めて報道される。」「薬理作用だけでいったら、違法薬物よりも、暴力行動につながりやすいアルコールのほうがはるかに深刻です。日本では国民の健康や福祉向上のために行われているはずの規制がそれを上回っている現状があります。」と説きます。

 

その上で、「薬物使用を非犯罪化が世界の流れ」として、「世界では薬物を非犯罪化し、健康問題として対処していこうという流れになってきています。」「簡単にいうと、国民の薬物使用量を減らすのではなく、薬物使用の結果生じる様々な害(ハーム)を減らす政策です。その具体的な方法のひとつとして、国が使用を許可して薬物をコントロールするというものがありました。」「こういった流れの中で国連やWHOは薬物問題を非犯罪化し、健康問題として扱うべきだとして動いており、私もそうするべきだと思っています。」と、世界の動向を紹介します。

 

そして、「健康問題へのただしい対策の仕方」として、「日本では乱用防止が効きすぎている。それは、現在、日本の一部でも生じているような、コロナウイルスに罹患した人に対してバッシングや排除の動きが出ていますね。同じように、薬物依存症になってしまった人がスティグマタイズされてしまっています。」と、どのような対策が求められるか提言を示しています。

 


日本の薬物政策のあり方が、国際的な動向と乖離していることは、6月26日の「国際薬物乱用・不正取引防止デー」に合わせて、依存症問題に取り組む田中紀子さんの書かれた次の文章でも触れられています。

 🔊厚労省カンマ課は英語が読めないのか?」「in a family way」2020年6月26日配信

  https://officerico.co.jp/blog/?p=9927

 

ここでは、厚労省は「国際麻薬乱用撲滅デー」と訳し、「薬物問題を麻薬」に特化している点、「不正取引防止」に言及していない点、「ダメ。ゼッタイ。」のキャッチコピーは思考停止を生んでいる点、の訂正を訴えています。

そして、2020年のテーマは「Better Knowledge for Better Care」であり、直訳すると「より良いケアのための正しい知識」。つまり「みなさん、知識を深めて、困っている人に正しいケアを提供しましょう」と呼びかけていることを説いています。


田中さんの発言を受けて厚労省への取材も含めて書かれた記事に以下があります。

🔊誤訳? 意図的? 厚労省はなぜ「国際薬物乱用・不正取引防止デー」を「国際麻薬乱用撲滅デー」にするのか

 岩永直子 「BuzzFeedNews」2020年6月26日配信

 https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/international-day-against-drug-abuse-and-illicit-trafficking

 

同じように日本の薬物政策のあり方を国際的な動向と比較して批判したものに、以下があります。

🔊厚労省大臣への文句と、『ダメ。ゼッタイ。』へのアンチテーゼ karma(風間暁)2020年6月26日投稿

  https://note.com/negaposi/n/n6990afad6dbd

 

 こうした視点は、日本での罰則化によるラッシュの規制を考える上でも、重要な視点といえるでしょう。

 🔊世界ではラッシュ(RUSH)がどう規制されているの?-NYAN

 

2020年7月21日は、槇原敬之さんの延期されていた初公判が開かれます。この裁判において、ラッシュがどのように審理されるかも、注目していきたいところです。


【千葉】ラッシュ裁判は、6月18日(木)午後に有罪判決が言い渡され、控訴に向けて検討中です。

🔊【速報】【千葉】ラッシュ裁判6月18日―有罪判決言い渡し

 

【横浜】ニトライト裁判は、6月24日(水)午後に公判が開かれ、検察側並びに弁護人側の証拠調べが行われました。

次回は8月4日(火)午後に被告人質問の公判が予定されています。こちらもご支援、傍聴ください。

🔊【横浜】ニトライト裁判6月24日公判

ダメ。ゼッタイ。ポスターパロディ

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