NPOぷれいす東京の2018年度活動報告会(2019年5月25日)において、ラッシュ裁判について報告させていただきました。当日、コメンテーターとして参加された弁護士の山下敏雅さんが、コメントを書かれました。ご承諾を得て、一部を抜粋して転載させていただきます。
🔊おかしいことに「おかしい」と声を上げる大切さ(ぷれいす東京コラム)
https://ptokyo.org/column/post/11589
山下 敏雅(永野・山下法律事務所/弁護士)掲載日:2019/8/26
今年の活動報告会でのトークコーナー「声をあげる陽性者たち」では、裁判の当事者の3人の陽性者のお話がありました。日本人同性パートナーと20年以上暮らし、訴訟で在留特別許可を得た台湾籍のGさん。結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)の原告の一人の佐藤さん。そして、ラッシュ所持で起訴され、規制自体が不当と無罪を争うヒデさんです。(略)
Gさんやヒデさんに、不法滞在やラッシュ所持は犯罪なんだから仕方ない、などと言う人がいます。でも、男女のカップルなら日本にいられるのになぜ同性同士はダメなのか。ラッシュも、他の薬物のように常習性もなく他の人に被害も与えないのに、なぜそれを楽しむ自由がないのか、規制する審議の過程も杜撰じゃないか。そういうふうに、おかしいことにおかしいと声をあげ、社会を良い方向に変えていくことは、とても大切です。
私はGさん・佐藤さんの2つの訴訟の弁護団員です。ヒデさんの裁判には加わっていませんが、私の仲間の弁護士4人が担当しています。(略)
日本は裁判を起こすハードルが非常に高いだけでなく、裁判を起こす人に批判さえ起きます。しかし、裁判を起こす当事者は、極限の状態に迫られ、自分の人生を守るために戦っています。本来なら議会で法律が作られればよいのですが、少数者の問題は多数決ではなかなか前進しません。ましてや差別・偏見が根底にある問題はなおのことです。今現在、困っている当事者がいる。だからこそ、少数者を守る最後の砦として司法・裁判所があり、当事者をサポートする弁護士がいるのです。
裁判を進めていくうえで、とても励まされる言葉です。公判も再開し、いよいよ正念場を迎えます。
引き続き、一人でも多くの人に、この裁判の意義を理解していただければと思います。