薬物の有害性をランク付けした有名な論文に、『LANCET(ランセット)』という権威ある医学雑誌に掲載されたデビット・ナット教授ほかの「誤使用される可能性のある薬物の害を評価するための合理的なスケール(計測尺度)の開発」と題する論文(2007年3月号)があります。
🔊Development of a rational scale to assess the harm of drugs of potential misuse
Lancet 369 (9566): 1047–53. (2007年3月)(抄録まで閲覧可能)
この論文では、アルコール、ニコチン、ヘロイン、コカイン、大麻など、20の薬物を、①身体的有害性、②依存性、③社会的有害性、について数値化しランク付けされています。
ラッシュは、20薬物中、19番目と低い有害性の評価がなされ、アルコール、ニコチンなどに比べて、各段に有害性の低いことが立証されています。
ランクについては、下の図表が分かりやすいですが、ラッシュに言及した文章について引用します。
亜硝酸エステルがラッシュのことです。
「多くの薬物は、3つのカテゴリーを通じて、ランキングが一貫していた。ヘロイン、コカイン、バルビツール酸系睡眠薬、違法メタドンは、すべての害のカテゴリーでトップ5に入り、一方、カート、亜硝酸エステル、エクスタシーは、どのカテゴリーでも下位5位以内に位置した。」
日本では、アルコール、タバコは、年齢による規制や、運転などにかかわる規制などがありますが、単純使用や所持で、処罰されることはありません。
こうした科学的根拠と照らして、ラッシュの規制のあり方が妥当なものであるか考えたいものです。
下記のサイトに、全文の日本語訳が掲載されていますので、参考に紹介します。
(下記の団体と本会は、関係はありません。)
なお、この論文は、『LANCET』2010年11月号に「イギリスにおける薬物の危害」として、新たな研究データが発表されていますが、そこではラッシュは取り扱われていません。
🔊https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)61462-6/fulltext
詳しくは、以下の項目を参照ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/デビッド・ナット
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